(2011/09/10)
前回は社員が自社に誇りを持って働ける環境としてのオフィスについて考えました。今回は、誇りを持つだけでなく、人材流出を防ぎ、生産性を上げるためのオフィス作りについて説明させていただきます。
オフィスの一人当たり面積は
知的生産性に比例する
ここ20年ほどで、オフィスも、働き方も大きく変化してきました。オフィスは1日24時間のうちの大半を過ごす空間ですから、かつてのような灰色一色、無味乾燥な場所では人材は集まりません。また、仕事の内容自体も機械的にこなせば良い事務処理から、知的で創造性の高いものに変化しており、どれだけ快適で、社員が前向きに仕事に取り組める環境を作れるかに、企業の将来がかかっています。
そこで、まず考えたいのがオフィスの広さです。近年、オフィス内での一人当たりの面積は広がる傾向にあります。机のサイズ自体、かつては60センチ×90センチが多かったものですが、現在では70センチ×100から120センチが主流。デスク間も広く取るようになっており、着席している人の後ろをぎりぎり歩ける80センチから、普通に歩ける110センチのレイアウトを考える会社が目にとまるようになってきています。
オフィス探しの現場で観察させていただいていると、規模の大きな会社ほど一人当たりの面積を広く取る傾向があり、採用にかける費用も高くなっています。つまり、一人当たりのオフィス面積を広く取る会社ほど、一人当たりの生産性が高いともいえるわけです。
とはいえ、中小企業ではオフィスにかけられる費用は限られていますから、それを最大限に活用するためには、仲介にあたる不動産会社選びがポイントになります。具体的には、移転の理由を聞き、それに合った広さのレイアウト案も含めたオフィスを提案してくれる会社であること。広さ、賃料の条件に合っているならどれでも良いとばかりに、下手な鉄砲を数打つような会社ではダメです。
広くてもコミュニケーション不全に陥る
オフィスがある
ひとつ、注意しなくてはいけないのは、一人当たりの広さ、快適性を重視しすぎて、アメリカ的な個の空間を主体にしたオフィスにしてしまうこと。確かに集中力は高まり、個々人は快適でしょうが、日本では社内コミュニケーションは円滑な企業運営のために不可欠な要素。目の前にいる同僚、上司と直接話をせず、メールですべてやりとりするような会社にしてはいけません。
業務内容、仕事の進め方などによってレイアウトは異なってきますが、大事なのはパーティションの使い方。手元が見えない程度には必要でしょうが、立った時に互いが見えないほどの高さは必要ないケースが多いはずです。最近では高さはもちろん、素材、デザインなど多種多様のオフィス家具がありますから、人間関係を遠くしてしまわないレイアウトを考えていただきたいものです。もし、多少広めのオフィスを借りるのであれば、社員が休憩しつつ、言葉を交わせるような空間を作るのも良いでしょう。
トイレ、水回りは
日常の快適性アップに貢献
連載3回目は「取引先、入社希望者はトイレで会社を見る」と題した内容でしたが、トイレ、給湯室などの水回りの状況は快適なオフィス環境の条件のひとつでもあります。10坪、20坪といった小規模ビルは別として、執務スペースとトイレが同一空間にある、男女トイレが一緒といったオフィスは論外。音が気になり、互いに遠慮が生まれるレイアウトです。特に女性には居心地が悪いと思われ、人材定着の妨げになります。
そのため、トイレは執務空間とは廊下を挟んだ場所に男女別にあるのがベスト。来客にも利用していただきやすくなります。給湯室も同様ですが、快適すぎて私物が置かれ、雑談の場となるのも考えもの。社外には出したくない情報が来訪者の前で披露されることにならないよう、快適ではあるものの緊張感もあるスペースとなるように心がけたいものです。特に男性管理職は女子トイレまで目が届かないことが多いので、注意してください。
|
筆者紹介
佐々木泰樹 Taiju Sasaki |
back number
|



