(2011/05/10)
働く人の理想と企業の目指す方向、
ここが一致すれば人は辞めない
経営にも人間にもいろんな考え方があります。極端に言えば、利益が上がれば良いという経営者もいれば、ラクしてお金がもらえれば良いという社員もいるかもしれません。しかし、私は基本、人間はもっと誠実で前向きであるものだと思っています。怠けているように見える人でも心の中にはこうありたい、なりたいといった理想像があるはずです。企業にも、利益を上げるという基本的な方向ばかりでなく、たとえば「働く人が自分の可能性を追求できる企業でありたい」といった何かしらの思いがあると思います。そして、個人の理想と企業の目指す方向が一致していれば、働く人は辞めようとは思わないはずとも考えています。
自社の人格をアピールすることが
人材確保への道
そうであれば、企業は働く人に、自社の人格がいかなるものであるかを示す必要があります。そのため、多くの企業では社訓、朝礼、研修に始まり、社内報、クラブ活動、社員旅行などと、いろいろな形でお金を使い、社員とその家族に向け、自社をアピールをします。
しかし、こうした面だけで会社の人格を伝えようとするには無理があります。たとえば、家族を同行しての社員旅行。一見、社員を大切にしたいという思いの表れと捉えられるかもしれません。家族のいる社員ならそれで喜んでくれもするでしょうが、単身者は不公平感を抱くこともあります。そんなお金があるなら、給与を増やしてくれと思う人もいるかもしれません。特に若い年代では、かつてのようなべたべたした人間関係は嫌がられます。じゃあ、学んで来いと、短期間の研修をしたところで、それぞれの人間の考え方が変わるわけではありません。上司の権力をもってすれば、話を聞いてはもらえるでしょうが、だからといって理解はしてくれないでしょう。いや、転職が一般化した昨今では、嫌な上司の指示にどうしても従えと言われるくらいなら辞めますという人も多いのです。
社員との関係をどう考えるか、
オフィスにはその思想が出る
では、どうやって会社の目指すものを伝えれば良いか。私はそのためにオフィスをもっと戦略的に考えるべきだと思っています。働く人は1日の大半をオフィスで過ごします。美辞麗句で飾った求人広告で採用にはこぎつけられてもそれは一時の話、毎日を過ごす場を嘘で塗り固めるわけにはいきません。オフィスとはその会社が社員をどう考えているかが明確に表れる場でもあるのです。
成長企業では
人件費とオフィス経費は比例する
実際、大手あるいは収益性の高い成長企業では人件費とオフィス経費にお金をかけています。オフィスワークは工場でのモノ作りとは異なり、知的、創造的な仕事です。その生産性を高め、人材流出を防ぐためには会社と社員の関係を大事にする必要があります。大手や成長企業がオフィスにお金をかけるのはそのためです。しかし、中小企業ではその余裕がない場合が大半。私は多くのオフィスを見てきましたが、オフィスの意味をそこまで考えている企業は非常に少ないのが現実です。中にはオフィスは戦場、作業場だから、ストレスがあっても仕方ない、経費をかけるのはムダという会社すらあります。
限られたオフィス経費をどう使うかで
企業の将来が決まる
もちろん、それはそれでひとつの考え方ですが、人材を人財とし、企業を成長させていきたいと考えるのであれば、オフィスはその糸口になります。移転を考える直接の理由が「狭くなったから」だとしても、その原因が人員増にあるのか、整理されていない書類などがムダなスペースを生んでいることにあるのか。その理由を細かく考えていくことは経営そのものの見直しにつながります。また、最終的に選択したオフィスは会社の社員に対する考え方を社内的、対外的に示すものになります。そう考えると、オフィス経費は必要経費であると同時に求人広告でもあり、将来への投資ともいえます。特に予算が限られている中小企業にとっては、そこでいかにお金を遣うべきかが、大きな鍵になってくるはずです。
次回以降はそのために、どのような視点でオフィスを選べば良いかを詳述していきます。
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筆者紹介
佐々木泰樹 Taiju Sasaki |
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